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平成18年(ワ)第7583号損害賠償等請求事件

原 告 戸崎 貴裕

被 告 (被告Aの氏名) 外2名

 

準備書面(7)

被告C病院よりの準備書面(2)に対する認否反論,及び原告の主張

 

                                                          平成18102

東京地方裁判所民事25部 御中

 

原    告    戸崎 貴裕  

 

1              訂正事項等

         被告C病院が準備書面(2)の第21(1)で述べている「『(医師D名誤記)』は,『(医師D名)』の誤記」につき,原告がこれまでに行った認否反論及び主張内にある表記についても同様に,医師名を示した「(医師D名誤記)」を「(医師D名)」と訂正する。

         訴状の2(3)における原告の主張では,被告C病院による医療保護入院決定が違法である理由を,訴状の2(1)(4)及び(5)に限定する表記になっているが,この限定表記を訂正し, 訴状の2(1)(4)及び(5)を含め,本訴訟にて原告の行った,または今後行う,被告C病院による医療保護入院決定の違法性を指摘する主張全てを,違法性の理由として主張することとする。

         原告は,訴状より,準備書面(2)で述べたような生活妨害行為等につき,または被告AB,提携会社等の話し及び報告につき,被告らが「事実確認」をいっさい行っていないと主張してきた。その「事実確認」の意味するところは,単に,そういう風に聞いた,そういう話を聞いた,そう報告を受けた,という事実のみではなく,その話や報告の内容が事実であるかどうかの確認, 及び「妄想」であるとの断定に必要な事実的根拠の確認,すなわち,報告書内容を原告に伝えて事実確認を行うこと,原告に事情を聞き事実であるか確認すること,原告の採取した映像,音声,通信記録等の確認をすること,原告がその場で生活妨害行為などを指摘しているにもかかわらず,その場に事実的根拠がないと断定することが可能な現場を確認することなど,を意味することを明記しておく。そのような事実確認が先にあって初めて「妄想」かどうかが判断できるのである。被告C病院に関する場合,人の生命及び健康を管理する業務を営んでいるのであるから,そのような確認が慎重に行われるべきことは,当然の注意義務であり,社会通念上期待されて当然である。

 

2              平成1898日付準備書面(2)について

         21について

(1)        (1)について,否認する。(医師Dは,原告に対し,被告C病院側が「具体的な問診,診察」がなされたという主張の根拠として示している書証に記載されているような問診などしていない。原告は,被告C病院側がその根拠としている乙A127頁〜,及び乙A215頁の内容については既に理由を挙げて否認しているし,平成17414においてその内容を伝えられてもいない。また, 乙A127頁については,本書面においてもさらに理由を挙げて否認する。

(2)        (2)について,「外出や退院において医師の判断が必要」という主張は,当時原告が病気であって,かつ医療保護入院が必須であったと証明されてはじめて正当かどうかが審理できる主張である。後にも述べるように,被告C病院は,原告に対し,「妄想」であるとの断定(確定診断)が可能であった根拠を説明または証明できていないのであるから,被告C病院の主張は失当である。前提として,「妄想」とは, 根拠のない誤った判断に基づいており,客観的事実と異なる主観的な信念でなければならず,それが証明されなければならない。次に,「自らの意思できちんと病院に帰院」とあるが,事実確認,説明及び証明を一切せずに「妄想」と断定し,突如強制的に拉致監禁ができるのであるから,原告は,帰院を拒否しても問題は解決せず,「妄想」であるとの断定が可能であった根拠が一方的,独善的かつ事実確認を伴わず,説明さえされていないということを認めさせ,医師に病気ではないと認めさせるしか方法がないと合理的に考えていただけである。その他被告C病院の主張する入院時の経過についても,院内では一切の音声・映像記録を禁止する規則があり,かつ診療録が被告C病院の支配領域内にあるからこそできる,被告C病院側による一方的かつ独善的な虚偽を記録し, 被告C病院側に都合の悪い事実は記録していない虚偽経過である。また,「治療意欲を見せていた。」とあるが,原告が治療意欲を持ったなどという事実は無い。これは,本訴訟における原告の主張及び証拠から明らかである。本項最後に,「適法な手続きを経て医療保護入院を行っており」という主張には,これまでの主張に加え,別途反論する。

         22について

(1)     (1)について,否認する。被告C病院は,本訴訟において乙号証として提出されるまで,原告に対して一切その内容を確認させなかった,第三者による虚偽報告及び被告C病院側の支配領域にある診療録のみを提示して,「本人に説明したが,病識が欠如し入院の必要性の理解が乏しく」という主張を行っているだけであり,事実とは異なる。平成17414日において,(医師Dからは,被告Aが入院を希望しているから入院しましょう,という一方的な告知のみが行われたのであって,「本人に説明したが」などという主張は虚偽であり, そもそも何をどのように説明したのかが説明されていない。したがって,原告が入院に同意することや病識を持つことの出来た理由がない。原告に対しては,被告らの原告に対する全ての措置の前提である「妄想」であるとの断定が可能であった根拠について,平成17414日までに,さらには本日までも,誰も説明できていないのである。

(2)     (2)について,否認する。被告C病院は,原告の症状としてかかれた具体的な個々のカルテ記載内容について事実確認を行ってはいないし,それら記載は原告が答えた内容でもない。例えば,乙A127頁にある「毒が入っているといって食事を取らなくなる。」などという記載は,甲18号証(平成1745日から,被告C病院が原告に対する医療保護入院を決定した平成17414日直前の413日までの領収書。食事に関して残っている領収書だけでもこれだけ存在するのである。尚,4頁目の映画のチケットは,以前に述べたように,拉致前日に訴外女性Bと外出した際のもの。)により明らかな通り,原告の当時の客観的な状況と異なっており,「確認した事実をカルテに記載」という主張が虚偽であることは明らかである。客観的事実と異なる事実を根拠とした診断が誤診であることは,医療過誤訴訟における常識である。したがって,被告C病院の主張する,または被告C病院側の支配領域にある診療録に記載された個々の具体的な内容につき,どのように事実確認を行ったのかが被告C病院によって説明または証明されない限り,診断及び強制入院を正当化できる根拠は一切無かったものとみなされるべきである。

 

 

         23について

(1)     (医師Kが,原告を病気と判断していたことは,明らかである。」とあるが,強制入院を継続させたのであるから, 「妄想」であるとの断定が可能であった根拠が説明または証明されなければ,被告C病院側の主張は失当である。原告の入院当時の,(医師Kの原告に対する対応は,原告が日記として記録(甲19号証)しているが,以下ア〜ウに示すような対応であった。この対応からは,「妄想」であるとの断定(確定診断)が可能であった根拠,入院が必要だと断定した根拠,及び入院を継続することが必要だと断定した根拠が説明されていないことは明らかであり,被告C病院の主張するような「状態が悪くならないよう」,「細心の注意を払いながら」,「懸命に説得をしようとしていた」などという主張が虚偽であることは明らかである。また,退院後に原告と(医師Kの間で甲9及び10号証に示したような会話(診断根拠に対する会話など。)がなされていることからも, 以下ア〜ウに示す事実が真実に基づいていることが明らかである。

         平成17420日((医師Kによる初診察)

()               原告が,原告の主張していることは映像や音声の記録に残る事実であり、それらの事実確認を全くせずに病気の可能性だけを押し付けるのはおかしいと主張すると, 「そんな些細なことは枝葉末節なんだよ。」,「あんたの言っていることは全て他人事なんだよ。」との答えがあった。

()               原告が,「入院においては、私が何を言っても無駄と言うことですか?」と(医師Kに聞くと、「そうだよ。」との答えがあった。

()               原告が, 「それでは、診断根拠を説明していただけますか?」と聞くと、「病気だと思わないから病気なんだよ。」との答えしかなかった。

         平成17426日(診察第2回目の前)

原告が,(医師Kに,「(医師Kとの診察会話だけでも録音することは出来ますか?」と聞くと,出来ないとの答えがあったので,「患者が診察会話を録音する権利はないのですか?」と聞くと,「無い無い。」との答えがあった。また,当時の原告の状態を根拠とした診断根拠の説明は一切無かった。

         平成1755日(診察第3回)

原告が,(医師Kに対し,乙A3号証で示されている文書につき,具体的にどの部分が「妄想」と断定可能なのかの説明を求めたが,回答は一切無かった。

         24について

原告が準備書面(1)で示した法的・社会的規範について,精神医療従事者,及び医療保護入院の行為主体である病院の管理者が心得ていること,及び法的・社会的規範に反した行為が行われていないか注意する義務は,注意義務及び研鑽義務として期待されて当然である。「どのように連れてこられたか,その詳細は知らされていなかった。」とあるが,被告C病院が認めている記録も含め,「無理やり連れてこられた」, 「拉致されて連れてこられたんで」という原告の主張が,被告C病院の医療録に記録されているのである。「詳細は知らされていなかった。」などという説明で医療従事者としての注意義務違反及び研鑽義務違反を逃れられるものではないことは明らかである。

         25について

(1)     (1)について

被告C病院側の支配領域にある診療録の内容を列挙し,「混乱が認められた。」とあるが,そもそも原告は「気がする。」などという曖昧なものの言い方をしてはおらず,実際に映像,音声,通信記録に残る事実があると主張していたのであって,甲9及び10号証に示した会話からも,当時の原告に混乱した様子は見られず,被告C病院の主張は客観的事実と異なっている。客観的事実と異なる事実を根拠とした診断が誤診であることは,医療過誤訴訟における常識である。

(2)     (2)について

()         「『服薬はしていなかった』との主張は否認する。」とあり,また, 被告C病院による準備書面(1)の第24(1)には,「服薬も自己管理で行っていた。」とある。しかし真実は次の通りである。被告C病院では,服薬を自己管理している患者は自ら数日分の薬を持たされ,記録用紙に記入しながら自ら服薬していた。原告の場合には,その他の患者と同じく,時間になると看護師が病棟の中央付近に運んでくる,患者数分の薬を載せた台の前に並ばされ,順番になると持参したコップで薬を飲み込むところを確認されていた。原告に処方されていた薬は錠剤であったので(甲21号証),原告はこの際,コップの中に薬を移し,飲んだふりをして,後にコップの中の飲み物ごと薬を捨てていたのである。したがって,被告C病院の「服薬も自己管理で行っていた。」との主張は虚偽であり, 「『服薬はしていなかった』との主張は否認する。」という主張は認められるべきではない。

()         「『映像・音声等の記録に残る事実が「薬物療法」によって消えるわけが無い』という主張は,趣旨が不明である。」とあるので,趣旨を明らかにする。趣旨は,平成17414日において(医師Dが,原告を妄想状態と断定(確定診断)し,薬物療法を決定できた合理的理由のあるはずがないということである。前提として,「妄想」とは, 根拠のない誤った判断に基づいており,客観的事実と異なる主観的な信念でなければならない。準備書面(2)で述べたような生活妨害行為等については,その多くが映像,音声,通信記録等の客観的記録として残っており,そのような事実についての主張を行った結果,第三者による虚偽(客観的記録に残る事実と異なる報告)を含む報告書が書かれ,その報告内容が原告に知らされず,原告本人に対する事実確認無く,平成17414日,被告C病院側(医師Dによって「妄想状態」と断定(確定診断)され,「薬物療法」の判断が下されたのである。これまでの被告C病院側の主張から,被告C病院が認めた症状は「妄想」のみであるから,論理的帰結として, 被告C病院の(医師Dは,映像,音声,通信記録等の客観的記録として残っている事実的根拠のある主張を,記録の検証もせず,事実確認もせずに,虚偽報告内容を原告に一切知らせずに「妄想」と断定し,どの部分を「妄想」と断定したのか, そして「妄想」であるとの断定(確定診断)が可能であった根拠さえも原告に知らせることなく,その「妄想」が「薬物療法」で治療できると判断し,原告の身体,生命に影響を及ぼす強制入院措置及び投薬措置を急遽,一方的に決断したということになる。原告は,そのような判断は合理的ではなく,明らかな過失であると指摘しているのである。

()         4頁冒頭の3行は不知。

         26について

(1)     被告C病院が原告自身の発言として引用している乙A1及びA2の内容は,被告C病院側の支配領域にある診療録である。そして原告はその内容を否認している。よってこの引用は被告C病院側の独善的かつ一方的な主張でしかない。

(2)     A3で示された文章からの引用も列挙しているが, 原告が被告C病院側に乙A3号証の書面を渡したのは,平成17年の5月に入ってからのことであり,それ以前に,原告はその内容を,被告A,被告B,被告C病院関係者や報告書関係者の誰にも話していなかった。したがって, 乙A3号証の内容は,平成17414日の(医師Dの診断の根拠にはなり得ない。

(3)      原告は,自ら収集した記録や多数の第三者よりの情報に基づき, 乙A3号証の文章を書いたのであり,その内容全てに間接事実,または直接事実としての事実的根拠がある。たとえその内容が一般的に受け入れがたいものであるとしても,被告C病院はその内容について事実確認を一切していないのであるから,乙A3号証は「妄想」と断定可能な根拠にはなりえない。乙A3号証のような文章を書くことは個人の自由であり,本件における問題は,被告C病院が乙A3号証の内容を,「妄想」の断定(確定診断)が可能である根拠とするには, 乙A3号証の内容が根拠のない誤った判断に基づいており,客観的事実と異なる主観的な信念であるとの証明をしなければならないということである。したがって,その証明をせず,乙A3号証の内容を羅列することのみで,被告C病院が,原告に対して行った一切の診断及び医療保護入院措置診を正当化できないことは明らかである。

(4)     原告が,入院中(医師Kに, 乙A3で示された文章に書かれた内容のどの部分が「妄想」と断定可能なのかと説明を求めた際にも,一切回答は無かった。たとえその内容が一般的に受け入れがたいものであるとしても,「妄想」と断定(確定診断)するからには,その内容が根拠のない誤った判断に基づいており,客観的事実と異なる主観的な信念であるとの証明がなされなければならない。原告は映像,音声,通信記録に残る事実を根拠として主張を行っていたのであり,その旨再三被告らに説明をしていたのである。原告の主張を一切無視し,原告本人の主張に対する事実確認も行っていない被告らに「妄想」であるとの断定(確定診断)が可能であった根拠が十分に説明できるはずがなく,事実,本訴訟においても説明ができていない。いかに当時の原告の主張していた訴外人物らの行為が通常起こりえないと考えられるとしても, 医療行為という,人の身体及び生命に関わる行為を強制したのであるから, 乙A3で示された文章の抜粋を列挙するだけで説明責任を果たしたとは到底みなされない。

(5)     「被告病院が原告に紹介書や報告書等を開示しなかったのは,開示したことによって原告の状態が悪化することを懸念したためである。」とあるが,否認する。なぜ開示によって状態が悪化するのか,全く説明されていない。そもそも,被告C病院が原告に対して行った全ての措置の前提となる「妄想」であるとの断定(確定診断)が可能であった根拠が説明できていないのであるから,説明もせずに主張するだけのこのような理由は,医療従事者の説明に求められるべき合理性に欠けるものであり,認められるべきではない。

         27について

(1)     被告C病院側の主張により,平成17414日における(医師Dの判断は「疑い」レベルであったことが明らかとなった。被告C病院は「疑い」レベルの判断しかできていない段階で,その日のうちに急遽,強制的に原告を閉鎖病棟へ入院させ,投薬する決定を下したのである。この事実から,原告に対する,被告C病院による平成17414における医療保護入院の決定は, 精神保健福祉法第33条第1項第1号の「指定医による診察の結果、精神障害者」という要件を満たしていないとみなされるべきである。

(2)     診断根拠については,本書面の第3にて,別途診断基準(ICD-10)と照し合せ,(医師Dの診断が誤りであったことを明らかにする。

 

 

         28について

(医師Kは,このようなことは言っていない。」とあるが,本書面の第23(1)で述べたとおりの記録をもって否認する。

      29について

(1)     原告は,平成17414日において(医師Dが,また強制入院中に(医師Kが,「妄想」または「被害妄想」と断定した当時の原告の主張がどの部分であるのかという説明,並びにそれら主張を「妄想」または「被害妄想」であるとの断定(確定診断)が可能であった根拠の説明を求めているのである。単に通常起こりえないと考えられる事象だというだけで,「妄想」とは断定できない。再三述べている通り,「妄想」とは根拠のない誤った判断に基づいており,客観的事実と異なる主観的な信念でなければならず,それが証明されなければならない。医療行為という,人の身体及び生命に関わる行為を強制したのであるから,被告C病院は「妄想」であるとの断定(確定診断)が可能であった根拠について説明責任を果たすべきであり,説明できないのであれば,(医師D及び(医師Kによる,原告に対する診断は誤診である。原告は当時の原告の主張が映像,音声,通信記録等に残る事実であると主張していたのであるから,原告の主張に対する一切の事実確認無しに「妄想」と断定することは不可能であり,誤った判断である。また,被告A及びB並びに報告書関係者も当時の原告の状態を観察していないし,当時の原告の主張に対する事実確認を一切行っていない。したがって,「原告の被害妄想は明らかである」という主張は認められるべきではない。

(2)     「『症状』とは被害妄想の症状である」「それらの症状により」とあるが,上記(1)の通り被告C病院は「妄想」であるとの断定(確定診断)が可能であった根拠の証明ができていない。したがって,被告C病院による「さらなるストレスとなり」や「エスカレートする危険性」などといった主張はその前提の証明を欠いており,独善的な主張であり,認められる主張ではない。そもそも,甲9及び10号証に示した,平成17414日以前の原告の会話,特に(医師Tとの会話からも明らかなように,原告はいかなるストレスも訴えてはいなかった。

(3)     「会社への損害をもたらすような極端な行動」とは何か不明である。仮に,原告が送信した告発メールの事であれば,先に内容に関する真偽確認がなされるべきであって,これを会社と原告との関係から見て第三者である人々が医療のみで解決するという判断は,公平さを欠き,一方的かつ独善的な判断である。被告C病院に対しては,入院当初より再三述べている,映像,音声,通信記録等について伝えているのであるから,真偽確認の手段がなかったという反論も不可能である。

(4)     尚,以前の準備書面でも述べたとおり,集団ストーカーという言葉は定義が定かではない。公知の事実でもない。よって,被告C病院側による,この言葉を前提とした,事実確認を一切伴わない断定,例えば「被害妄想は明らか」などという主張は認められるべきではない。

10            210について,否認する。

(1)     「『一般的な病名についての説明のみ』を行ったのではなく」と主張するのであれば,どのような説明を行ったのかが説明または証明されるべきである。その説明がされない限り,被告C病院の主張は認められるべきではない。甲22号証に(医師K直筆の説明図を示す。ここでは,急性一過性精神性障害が再発すると統合失調症であるとみなされる,ストレスが許容範囲を超えると起こる可能性がある,薬とカウンセリングが必要であるという,一般的な説明しかなされていないことは明らかであって,診療録(乙A135頁)にある図と同じである。尚,被告C病院においてカウンセラーと称す人物によるカウンセリングは一度行われただけであり,担当した被告C病院側カウンセラーは,原告の,記録に残る事実は妄想ではない,事実確認が先にあって初めて「妄想」かどうか判断できるのであるという,本訴訟においても行っている主張に一切反論することが出来ず,さらには原告がカウンセリングを受けなければならない必要性を一切説明できず,その後カウンセリングが行われることは無かった。

(2)     診療録に記録された,原告の「今度はわかります。」という発言の一方的な解釈が述べられているが,そのように解釈できるという合理的な説明の一切無い主張であり,失当である。被告C病院は,このような一方的かつ独善的な解釈によって,人の生命及び身体に対する措置を強制的に行ったのである。上記(1)でも述べたとおり,(医師Kが同じ「一般的な病名についての説明」を繰り返していたことは明らかである。原告は準備書面(3)の第24(3)で,甲22号証の図による説明(これが本項目で指摘のある会話のなされた時に書かれた図である。)は既にされていたので(乙A135頁の図と同じである。),「それは既にわかっているという意味であれば,そのような発言をした覚えはある。」と述べたのである。

11            211について

(1)     被告C病院の主張における@について,否認する。これまでに述べたように,乙A127頁の「起始および経過」に書かれた内容は,当時の原告の客観的な状態と異なる。また,乙A215頁の内容は当時の原告の主張と異なる。これは,甲9号証に示した(医師Tとの会話からも明らかであるように,例えば,原告が当時ストレスに感じていた事等は無く,眠れてもいたし,食事もとっていた(甲18号証も参照)。さらには,乙A127頁の「起始および経過」に書かれた内容については,原告に対して知らされていなかったのであるから,これをもって原告に対する診察の記録とすることは認められない。本人に知らせず,確認もせずに,客観的事実と異なる事実を書き記しただけの書面をもって診察が行われたということはできない。また,客観的事実と異なる事実を基にした診断が誤診であるとみなされることは,医療過誤訴訟における常識であるから,平成174月14日における,原告に対する,(医師Dの診断は少なくとも誤診であるとみなされるべきである。

(2)     Aについて,否認する。(医師Dの判断は「妄想」または「被害妄想」のみであることが明らかであるが,「妄想」とは, 根拠のない誤った判断に基づいており,客観的事実と異なる主観的な信念でなければならない。また,(医師Dの用いた診断基準は,乙A130頁から,ICD-10であることが明らかであり,診断はF20(被告C病院の主張によれば,F20の「疑いが強いと判断」した。)である。この診断が誤診であることを,本書面の第3にて,別途明らかにする。

(3)     Bについて,否認する。これまでに述べたように,乙A127頁の「起始および経過」に書かれた内容は,当時の原告の客観的な状態と異なる。これをもってして「医療及び保護のため入院の必要があり」ということはできない。そもそも,原告が「会社の人事はすべて組織のまわしものであり グル。」などという根拠の無い主張をした事実は一切無く,「目には見えない巧妙に組織的」などと主張するほど論理的思考能力に欠けてもいない。食事も拉致当日まで摂っており(甲18号証),平成17414日以降も食事を拒否したという記録は診療録(乙A)に一切無い。被告C病院は「確認した事実をカルテに記載」などと述べているが,これら記載内容は虚偽であり,当時の原告の状態とは異なっており,かつ原告に対して一切知らされていなかったのである。客観的事実と異なる事実を基にした診断が誤診であるとみなされることは,医療過誤訴訟における常識である。

(4)     Cについて,乙A127頁に書かれた内容は,当時原告に対して一切知らされていなかったのであり,平成17414日,突如,拉致・監禁され,被告C病院にてはじめて入院という言葉を聞かされ,何の説明も無く閉鎖病棟に軟禁されたのである。「本人に説明するも」とあるが,被告C病院側が主張するような説明は一切なかった。何をどのように説明したのかも一切説明されていない。説明がなされていないのであるから同意できるはずが無い。原告に対し,誰がどのように説明したのかが説明または証明されない限り,被告C病院の主張は認められるべきではない。そもそも,被告C病院の原告に対する措置全ての根本的理由として被告C病院の主張する「妄想」について, 平成17414日において(医師Dが「妄想」と断定した内容は明示されておらず,また,既に述べたように,「妄想」であるとの断定(確定診断)が可能であった根拠はない。

(5)     上記理由,及び本訴訟において原告が行ってきた,精神保健福祉法第33条第1項第1号に対する違反,並びに当時の社会的規範及び医療水準からの離反を指摘した主張をもってして,被告C病院の取った措置は不法行為であると主張する。

 

3              (医師D及び(医師Kの診断について

         本項では,平成17414日における,(医師Dの原告に対する診断,及び原告の入院中における,(医師Kの原告に対する診断が診断基準を満たしていないことを明らかにする。

         (医師Dの用いた診断基準は,ICD-10であることが明らか(乙A130頁)であり,診断はF20(被告C病院の主張によれば,その「疑いが強いと判断」した。)である。

         ICD-10におけるF20(及びF20.0)の診断基準は,甲20号証に示すとおりである。

         以下の通り,(医師Dの診断は, ICD-10におけるF20(またはF20.0)の診断基準を満たしていない。尚,本項内に示す(a)(i)の記号は,甲20号証に示すF20の診断基準の(a)(i)に対応する。

(1)     (a)は当てはまらない。

(2)     (b)は「妄想」に関する基準である。「支配される,影響される,あるいは抵抗できないという妄想で,身体や四肢の運動や特定の思考,行動あるいは感覚に関するものである。それに加えて妄想知覚。」について。原告の当時の主張は準備書面(2)で述べたような生活妨害行為であるから,「支配される」は当てはまらない。「抵抗できない」も当てはまらない。「思考」及び「運動」についても当てはまらない。残る基準は「(影響される)行動(に関する妄想)」,「(影響される)感覚(に関する妄想)」及び「妄想知覚」である。「行動」については,準備書面(2)で述べたような生活妨害行為等は,映像,音声,通信記録等に残るのであるから,原告本人に対する確認,記録の確認,及び事実確認無しに「妄想」と断定することは不可能である。「感覚」及び「妄想知覚」については,原告と行動や食事を共にし,原告の「(妄想としての)感覚」または「妄想知覚」を確認した人物は誰一人居ないのであるから,断定は不可能である。そして,そもそもこの基準の前提は「妄想」であるから,これまでに述べた, 「妄想」であるとの断定(確定診断)が可能であった根拠は無く,断定理由の説明もされていないとした主張のいっさいを援用し,少なくとも平成17414日において(医師Dが,(b)の診断基準に当てはまるかどうか確定診断できた理由は無い。

(3)     (c)は当てはまらない。

(4)     (d)は当てはまらない。

(5)     (e)は当てはまらない。

(6)     (f)は当てはまらない。

(7)     (g)は当てはまらない。

(8)     (h)は当てはまらない。

(9)     (i)は当てはまらない。

(10) また,F20.0として「妄想型」の診断基準が別途あるが,前提としてF20の診断基準を満たしていなければならないので, 平成17414日において(医師DF20.0と断定できた根拠は無い。さらにF20.0の説明では,「通常,幻覚とりわけ幻聴を伴う。」とあるが,この「通常」見られる「幻聴」が原告には無く,(医師Dによって確認もされていない。

(11) 診断基準によると該当症状は「ほとんどいつも明らかに存在していなければならない。」のであるが,平成17414日以前は,実際に原告と行動や食事を共にし,原告の「妄想」を確認(すなわち,原告がその場で生活妨害行為などを指摘しているにもかかわらず,その場に事実的根拠がないと断定することが可能な現場を確認したということ。)した人物は一人も居らず,平成17414日以降においては,診療録から明らかな通り,被告C病院によって「(影響される)行動(に関する妄想)」,「(影響される)感覚(に関する妄想)」及び「妄想知覚」は確認されていないのであるから,確定診断のできた理由がない。

(12) 仮に第三者による報告に根拠を求めて「妄想」と断定したのだとすれば,それは原告本人に対する診察の結果の診断ではないので,医療保護入院の条文を満たしてはいない違法な行為である。また, 第三者の報告の内容に関する事実確認は一切なされていないのであるから, 「妄想」と断定(確定診断)できた理由はない。

(13) よって,診断基準に当てはまる「症状」は無かったことになるか,少なくとも「妄想」であるとの断定(確定診断)が可能であった根拠は無かったことになるので, (医師Dの診断は, ICD-10におけるF20(及びF20.0)の診断基準を満たしていない。

         さらに,以下の12で述べるとおり,(医師Kの診断が,(医師Dの診断と矛盾し,かつ(医師Kの診断が下された時点で,(医師Dの診断(ICD-10F20)は無効となったことになる。

         よって, 平成17414日における,(医師Dの原告に対する診断は,診断基準を満たしていない誤診である。

         次に, 原告の入院中における,(医師Kの原告に対する診断が診断基準を満たしていないことを明らかにする。

         (医師Kの診断は,その根拠が「妄想」のみであることが被告C病院の主張から明らかであり, DSM-IVにその病名がない事から,ICD-10におけるF23.3となる(ただし,被告C病院より反論がある場合には別途審理が必要と考える。)。

         F23.3の診断基準は, 甲20号証に示すとおりである。尚,本項内に示す(a)(c)の記号は,甲20号証に示すF23.3の診断基準の(a)(c)に対応する。

10 「確定診断のためには,以下のことが必要である。」として(a)(c)の項目があるので,1項目でも当てはまらない場合には誤診である。

11 (a)及び(b)については,再三述べた通り「妄想」と断定できたはずが無いのであるから,確定診断のできた理由がない。

12  (c)の基準はF20の基準を満たさないことであるので,(医師Dの診断と矛盾する。

13 よって, 原告の入院中における,(医師Kの原告に対する診断は,診断基準を満たしていない誤診である。

4              まとめ

         被告C病院が原告に対して行った行為全てを正当化可能な唯一の理由は「妄想」である。前提として,「妄想」とは, 根拠のない誤った判断に基づいており,客観的事実と異なる主観的な信念でなければならず,それが証明されなければならない。しかし, 被告C病院は,報告書内容に対する事実確認,原告本人に対する事実確認,準備書面(2)で述べたような生活妨害行為等に対する事実確認,すなわち, 報告書内容を原告に伝えて事実確認を行うこと, 原告に事情を聞き事実であるか確認すること,原告の採取した映像,音声,通信記録等の確認をすること,原告がその場で生活妨害行為などを指摘しているにもかかわらず,その場に事実的根拠がないと断定することが可能な現場を確認することなど,のいっさいを行っていないのであるから,「妄想」と断定できた理由は無い。

         被告C病院が診断の根拠としてあげている乙A127頁等に書かれた,当時の原告の状態に関する記載は,当時の原告の状態に対する客観的事実と異なることは明らかである。客観的事実と異なる事実を根拠とした診断が誤診であることは,医療過誤訴訟における常識である。

         よって, 本件において, 被告C病院が原告に対して行ったいっさいの診断及び強制入院措置に正当な理由はない。

         これまでの原告の主張のいっさいから,被告C病院が原告に対して行った医療保護入院措置は, 精神保健福祉法第33条第1項第1号に違反し,当時の社会的規範及び医療水準からの離反した行為であり, 拉致監禁による反社会的強制移送の事実を黙認しており,過失や誤診が認められ,被告C病院が原告に対して行ったいっさいの診断,及び強制入院措置に正当な理由はなく,その結果として,訴状及び準備慮面に記載の通り,原告の身体,精神,財産等に損害を与えたことは明らかである。

以 上

 

 

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2014629

戸ア 貴裕